
The Beach Boys「Pet Sounds」 1966 米
★★★★★
音楽から与えられた喜びの量を数値化できたならば、人生で最も大きな値を刻むのはこの1枚だろう。
そんなに長年聴いているわけではない。学生時代の3ヶ月ほど聴きまくり、それ以降はときたま思い出したように聴くだけだ。
でも、そうなのである。
「このアルバムは100回聴かなければ分からない」
そういったことがよく言われるアルバムではあった。
こういう排他的な言い回しは嫌いなのだが、このアルバムに関してはあながち間違った表現でもないかもしれない、とも思ってしまう。
このアルバムの評価の異常なまでの高さは知っていたので、学生時代にレンタルして、聴いてみた。
うん!よくわかりません!
1曲目のウディッビーナイスとかなんたらいうのは何か良い気がするけども、他のやつ全然わかりません!
さてさて、努力家でありかつロック勉強熱が半端じゃなかった俺は、毎日のようにこのアルバムを聴いた。繰り返し聴いた。聴いた。
でも全然分からんのです。良さが。
さてさて、もうこのアルバムの良さを理解することを諦めかけていたある日。
映画「フォレストガンプ」を見ていると、ヴェトナム駐屯地の場面で、ラジオからめちゃくちゃ良い曲が流れてきた。しかも聴き覚えのあるやつ。
そう。「Sloop John B」のお出まし。
それからもう一度このアルバムを聴いてみた。
アホほど好きになった。
それからはペットサウンド漬けの毎日。
それまでも音楽を聴いて喜びを得てきた俺だが、このアルバムから発せられるこの多幸感はなんなんだろう。聴いているうちに、生きているということの喜びが実感されて体の奥底から震えがくるような、自分ひとりの体では到底支えきれないほどの喜び。
あの毎日を思い出すだけでにやけが止まらなくなりそうだ。
それにしても、一度好きになってからのこのポップ感はなんだろう?こんなにポップであれば、すぐに好きになっても良さそうなものなのに。分からん。これが「100回聴かなければ分からない」と言われる所以なのだろうか。ホント分からん。これぞケミストリーということか。ブライアンウィルソンの狙いか。偶然か。奇跡か。
いずれにせよ俺はこいつをこれからも聴き続けるんだけども、得られる喜びの量が減っていかないかが差し当たりの心配事である。
減っていったらあれだね、齢をとるって悲しいね。