2011年6月16日 (木)

Soul Flower Union「High Tide And Moonlight Bash」

High Tide And Moonlight Bash

 Soul Flower Union 「High Tide And Moonlight Bash」    1999  日

 ★★★★★

 

 俺が知る限り最もミクスチャー度の濃いミクスチャーバンド。

 ジャズ、パンク、ファンクなどは当たり前、日本土着の音楽(民謡、労働歌、チンドン、等)とアイリッシュ音楽・ケルト音楽などがなんの齟齬もなく混ざり合い、ロックンロールとして起動し、動き出す。

 

 そこに生まれるのは日本人独特の郷愁の想いと、土臭いグルーヴ。素晴らしい。

 

 ライブ版なのでベスト的な選曲であり、どの曲も素晴らしいのは当たり前とも言えるが、アイリッシュ音楽とパンクが融合したようなM3「風の市」、これでもかというほどの郷愁の想いを呼び起こす民謡風バラードM9「潮の道」、ケルト音楽・民謡等様々な音楽を力いっぱい混ぜたくりサイケ風味パンク風味をぶちまけたようなM12「海行かば山行かば踊るかばね」、などなど、余りにもレベルが高すぎる。

 

 日本が世界に誇れるバンドの一つ。

2011年6月13日 (月)

Super Furry Animals「Rings Around The World」

 Super Furry Animals  「Rings Around The World」   2001  英(ウェールズ)

 ★★★★★

 

 この僕を「ポップ信仰」の時代に突入させた記念すべき1枚。

 

 

 スーファリ。

 

 「音楽的な実験」と「ポップであること」の両立は、いつの時代でもロックに与えられた一つの課題であるが、彼らほどその両方を高レベルで満たしているアーティストはいないだろう。

 

 

 「こんなに冒険していて、それでいてどの曲もポップでハイクオリティだ。ロックにこういったことが出来るのであれば、冒険だけして聴き手の立場に立つことを忘れている自己満野郎は消えてなくなればいいんだ。最終的にはどこまで冒険して、かつ、どこまでポップ足れるかなのだ」

 

 

 そこまで思わせてくれたのが彼らです。 

 

 今はそこから更に成長したのか退化したのか頭が悪くなったのか分かりませんがもう少し考え方は丸くなりましたが、スーファリを尊敬する気持ちは変わりません。とにかく必聴の名盤です。(スーファリの作品はどれもがそうですが)

 

 

 そしてこの1枚はとくにバリエーションの豊かさが凄まじい!

 電子音で後半グイグイ盛り上げるM2「Sidewalk Serfer GIrl」、べたべたにポップだけれども電話のSEなどで飽きさせない表題曲のM3「Rings Around The World」、体がはちきれそうなほどの切ないバラードM4「It's Not The End Of The World」、後半の電子音の暴れ方が尋常ではないM9「No Sympathy」、スーファリの名曲トップ5に入るであろう、これぞ多幸感を音にしたものと言えるようなきらめくM10「Juxtaposed With U」等等、どれをとっても素晴らしい曲の数々。

 

 ロックって素晴らしい。そう思えるので、是非、聴いてください。

2011年6月12日 (日)

Wilco「Yankee Hotel Foxtrot」

 Wilco   「Yankee Hotel Foxtrot」         2002      米

 ★★★★★

 一番好きなアーティストは?と聴かれて私が名前を挙げるようにしているのが、このウィルコである。

 

 オルタナ・カントリーという無理矢理なカテゴライズで括られて登場した彼らであるが、とにかく、曲が良い。

 

 そしてこのアルバムは彼らの作品の中でもトップクラスで素晴らしい曲が並んでいる。

 

 

 更に、このアルバムの面白いところは、この作品のミックスを手がけたのがノイズ・エクスペリメンタル音楽の大家、ジム・オルークということである。

 

 オルタナティブとは言え、歌心のあるカントリー・ロックと、決して耳あたりの良いとは言えないノイズ・ミュージック。この2つの融合。

 

 相反するジャンルの融合とは時折試みられることではあるものの、その多くは作り手の自己満足で終わってしまっている。

 

 

 しかしここでは、しっかりと、奇跡が起きている。

 

 

 ラジオから流れてくるかのように曲の頭、曲中に突然覆いかぶさってくるノイズ。

 

 なぜだろう。とても心地よい。しかし、どの曲も儚い。終わりが近い。長くは続かない。

 

 まず間違いなく9.11の空気を反映しているであろう今作は、そんな「儚いものがバランスを崩す際の一瞬のきらめき」の純度の高い美しさを切り取ることに成功している。

2011年6月 1日 (水)

Mando Diao「Bring 'em In」

 Mando Diao「Bring 'em In」          2003       スウェーデン

 ★★★★★

 

 我らがマンドゥー・ディアオの1st!

 

 ガレージロック・リヴァイヴァルの時期に、日本人好きするこてこての良メロディーと、熱すぎるロック魂をもって現れたのが彼ら。学生時代、一時期ホントに死ぬほど聴いていた。

 

 

 音楽的に新しいことはないが、この音楽をこの時期に、このクオリティーでやり遂げたことが凄い。

 そしてまた、2人いるヴォーカルのうちの一人ビヨルンの、本来なら商品化してはいけないようなガナリ声が曲の疾走間と相まってかなり良い味をだしている。

 

 

 あれです。センスのある良い曲を作るアーティストが作った良い曲がいっぱい入った良いアルバムです。

 

2011年5月30日 (月)

Public Image Ltd.「Flowers Of Romance」

 Public Image Ltd.「Flowers Of Romance」     1981  英

 ★★★★★

 

 絶対零度。

 

 骨組のみ、土着的なドラミングの中たゆたいのたうつジョン・ライドンの呪詛にも聴こえる声。

 

  

 他のパンク勢がロックにパンチをかまして意気揚々と帰っていく中、ジョン・ライドンはそのロックを路地裏に連れ込んでボコボコにして惨殺してその死体を解体した挙句その残骸を十字架の上に引っ掛けてしまった、それがこの作品。まさに「ロック解体」。

 

 ただ、その解体し尽くされた死体自体がなぜか素晴らしい魅力を持っていたことが、ロックの持つ底力を現しているようで、すべてが鳥肌ものである。

 

  

 ロック飽和状態の現在、次にロックが新時代に突入するのは、誰かがロックを美しくない方法で殺してくれたときかもしれない。

 

 このパラドクスに俺は泣く。

2011年5月28日 (土)

サニーデイ・サービス「東京」

 サニーデイ・サービス「東京」  1996  日

 ★★★★★

 サニーデイ・サービス「東京」・・・・・。

 この作品ほどタイトルと内容がマッチしているものを他に知らない・・・・。

 

 

 そう!この作品の内容を一言で表すと、「東京」なのである!!

 

 それも、銀座・六本木などではなく、下北沢・吉祥寺なのである。

 山手線ではなく、井の頭線なのである。

 更に言うなら、やりてサラリーマンではなく、貧乏大学生なのである。

 

 

 大学生になり九州から東京に上京して、貧乏とまではいかないまでも華々しからざる学生生活を送っていた私からすれば、この作品はノスタルジーのツボを刺激するで賞大賞受賞作品なのである!!

 というよりも、この作品には、日本人として脈々と受け継がれる普遍的な郷愁の想いをこちょこちょっとするエッセンスがいっぱい詰まっているように感じる。

 

 

 音楽的にも、甘酸っぱいメロディーあり綺麗なハーモニーあり意外とごりごりぶりぶりしたアグレッシブベースありと、ホントに素晴らしい。

 聴くべき。

2011年5月22日 (日)

Fishmans「空中キャンプ」

 FISHMANS「空中キャンプ」   1996  日

 ★★★★★

 

 聴いたときに、Beach Boys「Pet Sounds」と同じ感覚を味わえたのは、日本のこの人たちのこの作品だけだ。

 

 音楽のレビューを読んでいて、よく「この作品には相反する二つのものが混在している」といった記述があり、「かっこつけんなボケ」といったことを思っていたが、これを聴いてついに分かったような気がした。

 

 

 M5「ナイトクルージング」に顕著だと思いますが、「生きる」ということを余すことなく音にしたのが、この作品だと、私は思うのです。勘違いかもしれません。思い違いかもしれません。そう思いたいだけかもしれません。でもそれでも良いのです。俺はそう信じてこれを聴きます。

 

 そして最後に、M6「幸せ者」の2:43~のSEの入れ方を聴いて、「あ、やっぱりこの人たちは、異常で変態で社会に害悪を与える、正常で凡人で皆を幸せにする人たちなんだ!」と気づいたことも、ここに付記しておきます。

2011年5月19日 (木)

Razorlight「Up All Night」

Razorlight「Up All Night」    2004  英

★★★★☆

 今ではビッグネームとなったレイザーライトの1st。

 UKロックらしさ全開ですごく大好きな1枚。

 性急なヴォーカルと演奏が、せつない良メロの良いところだけを抽出・拡大する。

 

 

 M7「Dalston」を聴いてもらえば言っていることは分かってもらえるはず。

 「俺のところに戻ってきてくれ!」と、臆面もなく何十回も叫ばれたらそらあ~た男の俺でも胸きゅんですわ!

 

 

 甘ちゃんで青臭くて、けれども熱~~い想いがたくさん詰まった1枚。

2011年5月17日 (火)

The Clash「London Calling」

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 The Clash「London Calling」   1979   英

 ★★★★★

 ほとほと、自分の音楽リスナーとしての才能の無さにはうんざりするのである。

 

 そう、あれは大学1年生のとき。それまでビートルズくらいしか聴いたことのなかった私は大学の友人のすすめでいわゆる”洋楽”を嗜み始めた。そう、音楽を”洋楽””邦楽”という括りで何のてらいもなく2分出来た、古き良き、青き馬鹿き時代である。

 当時ハマりまくっていたのは、そう、われらが兄貴「オフスプリング」である(今でも一周回って結構好きだったりする)。

 そして当時のオフスプリングの私の中でのジャンル分けはこれも何のてらいもなく「パンク」であった。

 「パンクかっけえええええ!!!」

 そういう気持ちでオフスプリング、サム41、ミレンコリン等を聴きまくっていたある日、CDショップでこのThe Clash「London Calling」を目にした。

 謳い文句、「パンクの殿堂!!」(か何かだったと思う・・・)。

 すぐ入手し、聴いてみた。

 「何だこれは・・・・・」

 もちろん、驚愕というより落胆であった。

 「全然パンクやないやんか!アホか!」

 そうして長年捨て置いていたのだ。それが私だ。私の真の姿だ。

 今当時の自分に出会ったら、顎を持ってがちがちがちーーっと無理やりやって顎関節症にしてやりたいくらいであるが、まぁ、この例に限らず私はそういう男なのである・・・。

 今、私が人生の名盤と思っている作品でも、最初から良いと思ったものは皆無である。なんたるリスナーとしての才能の薄さ。私は悲しい。

 

 今では人生の名盤となっている今作。いろいろ言えるが、結局は、全曲ポップで外れ曲なし、ということに尽きるだろう。

 やはり、パンクの核はポップなのだ。

 なんにせよ、まず、人の心に届けないと何も産み出していないのと同じこと。パンク界の頂点にすっくと屹立しながら、そういうことを教えてくれる1枚だ。

2011年5月12日 (木)

The Beach Boys「Pet Sounds」

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 The Beach Boys「Pet Sounds」    1966   米

 ★★★★★

 音楽から与えられた喜びの量を数値化できたならば、人生で最も大きな値を刻むのはこの1枚だろう。

 そんなに長年聴いているわけではない。学生時代の3ヶ月ほど聴きまくり、それ以降はときたま思い出したように聴くだけだ。

 でも、そうなのである。

 

 

 「このアルバムは100回聴かなければ分からない」

 そういったことがよく言われるアルバムではあった。

 こういう排他的な言い回しは嫌いなのだが、このアルバムに関してはあながち間違った表現でもないかもしれない、とも思ってしまう。

 

 

 このアルバムの評価の異常なまでの高さは知っていたので、学生時代にレンタルして、聴いてみた。

 

 うん!よくわかりません!

 1曲目のウディッビーナイスとかなんたらいうのは何か良い気がするけども、他のやつ全然わかりません!

 

 

 さてさて、努力家でありかつロック勉強熱が半端じゃなかった俺は、毎日のようにこのアルバムを聴いた。繰り返し聴いた。聴いた。

 

 でも全然分からんのです。良さが。

 

 さてさて、もうこのアルバムの良さを理解することを諦めかけていたある日。

 

 映画「フォレストガンプ」を見ていると、ヴェトナム駐屯地の場面で、ラジオからめちゃくちゃ良い曲が流れてきた。しかも聴き覚えのあるやつ。

 

 そう。「Sloop John B」のお出まし。

 

 それからもう一度このアルバムを聴いてみた。

 

 

 アホほど好きになった。

 

 それからはペットサウンド漬けの毎日。

 それまでも音楽を聴いて喜びを得てきた俺だが、このアルバムから発せられるこの多幸感はなんなんだろう。聴いているうちに、生きているということの喜びが実感されて体の奥底から震えがくるような、自分ひとりの体では到底支えきれないほどの喜び。

 あの毎日を思い出すだけでにやけが止まらなくなりそうだ。 

 

 それにしても、一度好きになってからのこのポップ感はなんだろう?こんなにポップであれば、すぐに好きになっても良さそうなものなのに。分からん。これが「100回聴かなければ分からない」と言われる所以なのだろうか。ホント分からん。これぞケミストリーということか。ブライアンウィルソンの狙いか。偶然か。奇跡か。

 

 いずれにせよ俺はこいつをこれからも聴き続けるんだけども、得られる喜びの量が減っていかないかが差し当たりの心配事である。

 減っていったらあれだね、齢をとるって悲しいね。